たいていのブームというのは、花火のようにパッと派手に打ち上がって、その後は跡形もなく消えるものです。
しかし、韓流ブームは息の長いブームになりました。やはり支えているのがオバ様たちというのが大きいですね。流行に左右されにくく、適度にお金を持っています。
また、ブログ、SNS、YouTubeなどが登場したことで、情報が一気に拡散したことも大きかったと思います。
「韓流」はそれなりに時間をかけて日本に浸透し、K-POPも2000年代後半にようやく成長期を迎えます。
2008年に東方神起(05年に日本デビュー)のシングルが初めてオリコン1位になり、
ここから怒涛のK-POP日本進出ラッシュが続きます。
●2008年
Super Junior(スーパージュニア)が日本デビュー
●2009年
BIGBANG、超新星、SHINee(シャイニー)が日本デビュー
●2010年
4minute(フォーミニッツ)、KARA、ブラウンアイドガールズ、少女時代、2PM(ツーピーエム)、FTIsland(エフティー・アイランド)、ZE:A(ゼア)、SM☆SH(スマッシュ)、U-KISS(ユーキッス)が日本デビュー
●2011年
BEAST(ビースト)、チャン・グンソク、2NE1(トゥエニィワン)、MBLAQ(エムブラック)、
大国男児(だいこくだんじ)、AFTER SCHOOL(安室奈美恵とコラボ)が日本デビュー
ちょっと凄すぎですね。
ノルマンディー上陸作戦かよ!!
この勢いはしばらく続くと思います。短期的には日本芸能市場のシェアの何割かはK-POP勢に奪われるかもしれません。
しかし、近い将来にきっと停滞期を迎えると思います。
その引き金になるのは、東方神起やKARAが起こした
所属事務所との労働争議です。韓国芸能界でこれらの問題は、しばらくの間増えることはあっても減ることはないと思います。
なぜこういった問題が起こるのでしょうか。K-POPファンから見たら「所属事務所が守銭奴だからだ」と思うでしょう。嫌韓ネットユーザーから見たら「韓国人はお金にがめつい」と思うかもしれません。
私が思うのは、芸能事務所が経験値不足で対応しきれていない。
また、成功と利益を優先し、労働環境の整備を後回しにしているからだと思います。
そもそも、K-POP最大手のSMエンターテインメントでさえ設立約15年(1995年設立)の若い企業です。
つまり、韓国芸能界全体が若いベンチャー企業のようなものといえます。
労働環境や法令遵守を棚上げにして成長を最優先にする。日本でもかつて、光通信やライブドアが急成長したときに同様の問題が原因でおかしくなりました。
比較材料として、日本の吉本興業を見てみます。同社はすでに設立約100年(1912年設立)の歴史を誇っています。創業から現在に至るまで無数のトラブル(暴○団との関係、所属タレントのスキャンダル、同業他社との死闘、旧経営陣との主導権争い・・・etc)を経験してきたと思います。この経験の中で対策マニュアル、労働環境の整備、法令遵守の精神などが培われていったのではないでしょうか。100年と15年、この経験値の差は歴然です。
また、SMエンターテインメントは創業者である李秀満(イ・スマン)会長の影響力が今も強大です。そのため、規模は大企業でも家族経営の延長のようなところがあります。
たとえば、少女時代のサニーは、李秀満(イ・スマン)会長の姪(兄の娘)です。
これは例えれば、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長の親族が、SMAPや嵐のメンバーにいるようなもの。日本ではなかなか考えられないことです。
70年代〜90年代、北欧スウェーデンの音楽が世界中を席巻したことがありました。
ABBA、ヨーロッパ、ロクセット、エイス・オブ・ベイス、イングヴェイ・マルムスティーン、カーディガンズetc・・・。音楽的には大国です。
音楽の質の高さがあったのは言うまでもありませんが、同国が福祉先進国であったことも大きかったと思います。アーティストたちは安心して音楽活動に専念できたのではないでしょうか。
私も韓国の友人と交流してみてわかったことですが、皆アグレッシブで外向的気質でした。
そして「ウリナラ(我が国)の文化は世界一ニダ」と自己主張もかなり強いと感じました。
アグレッシブなことは海外市場の開拓に重要ですが、所属アーティストの労働環境、法令遵守を整備できるかどうかで、K-POPの未来は大きく変わると思います。
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日本におけるK-POP
・1 前史:韓国演歌(トロット)の時代
・2 黎明期(90年代前半)
・3 「S.E.S.」早すぎた日本進出
・4 挑戦期(2000年代前半)
・5 成長期と今後の行方
・6 活動中の女性アーティスト
・7 活動中の男性アーティスト
・韓国史 年代別記事一覧
2011年05月26日
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