2011年04月12日

なぜマンガの中国人は「アルよ」と話すのか2 満州国の協和語

中国人キャラが「アルよ」と話す理由には諸説あり、今もハッキリとわかっていません。
ですが、歴史ファンとして興味深い「協和語」をルーツとする説にしぼって、話を進めます。

「協和語」・・・聞いたことがない言葉ですね。
これは満州国(1932年〜1945年)で使われた人工言語で、他民族でも日本語を学習しやすいようにわざと崩した言語なのです。

日本語は、外国人にとっては習得しにくい言語です。
・文字の種類が3種類(ひらがな・カタカナ・漢字)もある
・漢字の読み方は複数ある(韓国語の場合は1種類、中国語は多くても2種類)
・動詞・形容詞・形容動詞に活用がある
・助詞の使い方が複雑
・敬語が3種類(丁寧語、尊敬語、謙譲語)もある


そこで日本語を意図的に崩したというわけです。助詞がなく、活用も限られています。
・私は日本人です→→→私日本人アルよ
・お嬢さんはきれいですね→→→姑娘(グーニャン)きれいアルね
 ※単語には中国語なども盛り込まれた
・あなたが座る椅子がありません→→→あなた座るの椅子ないアルよ

Puyi-Manchukuo.jpgでは、この「協和語」を学ばせようとした「他民族」とはどの民族を指しているのでしょうか。
満州国は、表向きは清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀が皇帝となった満洲人による独立国です。
しかし、実際は関東軍(大日本帝国陸軍)および大日本帝国の傀儡国家であり、その手法があからさまであったため世界中から非難を浴びました。

この満州国、表向きのスローガンだけは立派で、なかでも「五族協和」が掲げられました。
五族とは日本人・漢人・朝鮮人・満洲人・蒙古人の民族を指します。「協和語」のネーミングと学ばせる対象民族はここから来ています。

しかし、満州国は日本の敗戦とともに消滅し、その混乱の中で「協和語」に関する資料は散逸してしまいます。そのため、系統だった研究がほとんど行われていないため、詳細は今も明らかではありません。

zenji_pekin.jpgでは、なぜ「協和語」ルーツの「アルよ」がマンガに定着したかというと、それはおそらく手品芸人のゼンジー北京さんの影響が大きいのではないでしょうか。

チャイナ服姿に「種も仕掛けもチョトアルよ」といった怪しい語り口。
私ははじめて見たとき中国人だと思いましたが、彼は広島県出身の日本人です。あのしゃべり方はネタです。

このネタは、中華料理店の店員のしゃべり方をマネたものだそうです。当時は、「協和語」の影響を受けた中国人が日本に移り住んでいても不思議ではありません。
ゼンジー北京さんは元々は極度のあがり症でしたが、このしゃべり方のおかげで舞台をうまくこなせるようになり、テレビでも人気者になりました。

彼の初舞台が1963年、『サイボーグ009』の連載開始が1964年です。彼のネタがマンガに影響を与えた可能性は大きいです。

ついでに言うと、タモリさんも中国語ネタがあります。中国語のニュアンスを絶妙に取り入れており、このネタも一世を風靡しました。


ほかに中川家礼二さんインチキ広東語も大好きです。


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posted by すぱあく at 09:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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