さて、それらの作品に脇役ですがよく出てくる人物がいます。それがラーメン大好き「小池さん」です。
自分でいうのもなんですが、私の容姿は「小池さん」に似ています。
子供の頃、小池さんを見て他人には思えませんでした。
特徴として
・いつもラーメンを食べている(私も相当なラーメン好き)
・天然パーマ(これも同じ)
・メガネ(あっ、これも同じだ)
・垂れた眉毛(うぬぅ、これも同じだ)
・締まりのない口(さすがに、これは違うかも)
小池さんには、しっかり実在のモデルがいます。
この方がモデルの鈴木伸一さんです。あれっ、小池さんじゃないの?
鈴木伸一さんは現在、杉並アニメーションミュージアム館長というお立場です。
東京都杉並区といえば、漫画家やアニメーターが多く住んでいる町。実は鈴木伸一さんもプロのアニメーターで、藤子不二雄の古くからの友人なんです。
鈴木さんは長崎県出身で中学卒業後に上京し、下宿しながら会社員として勤めます。この下宿先の表札が「小池」でした。
鈴木さん本人もラーメンが好物で、藤子不二雄は「小池さん家に下宿しているラーメン好きの鈴木さん」を忠実に再現して、「オバケのQ太郎」に登場させました。しかし、読者からはいつの間にか「小池さん」と誤解され、それがそのまま定着したのです。
その後鈴木さんは、あのトキワ荘(豊島区)に引っ越し、1956年「おとぎプロ」にアニメーターとして入社。
おとぎプロ退社後は、藤子不二雄(藤子・F・不二雄、藤子不二雄A)、石ノ森章太郎、つのだじろう、赤塚不二夫らとスタジオ・ゼロを設立。テレビアニメ制作を中心に活動しました。
スタジオ・ゼロの解散(1971年)後は、コマーシャルや番組タイトルバックなどの製作を数多く手がけ、1976年、カナダ国際アニメーション・フェスティバルに作品が入選しました。
現在でも数々のアニメ作品に精力的に関わっており、近年ではユネスコ・アジア文化センターの識字教育、環境問題アニメ「ミナの村シリーズ」の演出を手がけるなど、世界的にも著名なアニメーターになっています。
さて、マンガの中の「小池さん」の方はどうなったか。
「オバケのQ太郎」に初登場後、藤子・F・不二雄、藤子不二雄Aの両方の作品に顔を出すようになります。
●藤子・F・不二雄作品
「パーマン」「21エモン」「ドラえもん」「キテレツ大百科」など
●藤子不二雄A作品
「忍者ハットリくん」(ケン一のクラスの担任としてレギュラー出演)「笑ゥせぇるすまん」「魔太郎がくる!!」など。
「ホアー!! 小池さん」のような主役作品まであります。
さらには石ノ森章太郎や赤塚不二夫など、他の漫画家作品にも登場しています。
このように多くの作品に登場していくうちに、「小池さん」は脇役ながら、強烈なインパクトを放つようになります。そして、極めつけはシャ乱Qが「ラーメン大好き小池さんの唄」(作詞:つんく♂、1992年)という歌をつくります(2000年に「新・ラーメン大好き小池さんの唄」としてリメイク)。
シャ乱Qは、この曲で第2回NHK-BSヤングバトル全国大会・グランプリを受賞し、メジャーデビューを果たします。
つんく♂は後にヒットメーカーとしてビッグになりますが、その第一歩はなんと「小池さん」なのです。「小池さん」に福があるのは間違いありません!!