2011年04月01日

「負けてもいいじゃないか」馬場俊英さんの応援歌

「大人の視点」シリーズは今回が最終回。しめくくりに紹介するのは歌手の馬場俊英(ばば・としひで)さんです。
baba.jpg友人に紹介されて聴くようになりましたが、彼の歌を聴いていると自然と涙が流れています。

そもそも社会人になってから、めっきり流行の曲を聴かなくなりました。
仕事が忙しくてチェックする暇もないという理由もありますが、歌詞に感情移入できなくなったというのが最大の原因だと思います。
最近は、ラップやヒップホップが流行ですが、それらの歌詞はめちゃくちゃポジティブなんですよね。
 ・「人生に感謝 Hey!」
 ・「両親に感謝 Yeah!!」
 ・「夢があれば必ず叶う Oh! Yes!!」 etc・・・


しかし、それなりに世の中にもまれた大人であれば、うまくいかないことの方がはるかに多いことを知っています。失敗、挫折、失恋などがむしろ当たり前で、なんでもかんでもポジティブな歌詞は心に入ってこないんですよね。

ところが、馬場俊英さんの歌(『スタートライン〜新しい風』)は
 もうダメさ これ以上前に進めないそんな日が誰にだってある
 これからのことを思うと負けそうになる
 心配なことがあってしゃがみそうになる

 と挫折したところから歌がはじまります。ですが、負けてそれで終わりではないのです。

 だけど雨でも晴れでも何でもいつでも
 その気になりゃ何度でもやり直せる


 だからそうだよ くじけそうな時こそ遠くを見るんだよ
 チャンスは何度でも君のそばに
           スタートライン/馬場俊英 - 歌詞GET
実は、これを書いている今もすでに涙腺が壊れています。

今、大変な数の被災者がいますが、彼らは「あまりに『がんばって』といわれると、逆に心が重くなる」といいます。
「がんばる」ことはかなりエネルギーが必要ですよね。被災者には、まだそのエネルギーがないはずです。
だから、彼らには「くじけそうな時こそ遠くを見るんだよ」と祈ってあげてください。

なぜ、この馬場俊英さんの歌はこうも心に染み入るのか、それは彼自身の挫折と再起の経験を歌にしているからでしょう。

馬場俊英さんは1967年、埼玉県寄居町の出身。埼玉県立熊谷西高校を卒業。自分も埼玉県北の高校出身なのでさらに親しみがあります。
1996年、28歳でデビューしますが、なかなか花開く事がなく4年後に事務所から契約を切られます

それでも音楽をあきらめることができず、小さなバーやカフェなどで活動していました。
また、自主レーベルを設立し、CDも自主制作して発送までもすべて自分の手で行ったそうです。

後輩のコブクロは彼を慕う友人であり、彼らを含むいろいろな人の協力のもとラジオで曲を流してもらえるようになり、そこから大阪を中心に人気が口コミで広がっていきました。

そして05年に一度クビになった事務所と再契約し、『BOYS ON THE RUN 4 SONGS』でメジャー復帰します。
それからは人気が拡大し、07年についに紅白歌合戦に初出場し『スタートライン〜新しい風』を歌いました。

「負けてもいいじゃないか」という言葉はとても安心できる言葉です。
・子供の成績が悪いときは、親は「次がんばればいいじゃないか」と言ってあげてください。
・今月の営業成績が悪かった部下には「来月がんばればいいじゃないか」と励ましてください。

GDPが世界第3位に落ちたと思ったら、追い討ちをかけるように大地震、津波、原発事故の3連コンボでダウン寸前の日本ですが「その気になりゃ何度でもやり直せる」のです。



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posted by すぱあく at 09:20 | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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