2021年04月06日

殿様知事

都道府県知事は、人事から事業承認にいたるまでほとんどの最終決定権を持っており、まさに現代の「殿様」といえます。志あるものはやはり知事に憧れるものだと思います。さて、本当に殿様(大名)の子孫が知事になった「殿様知事」は、現行の公選知事制度において6人います。以下、見てみましょう。


福島県知事 松平勇雄(まつだいら いさお、1907年〜2006年)
第10〜12代知事(3期就任:1976年9月〜1988年9月)
早稲田大卒。三菱商事、参議院議員などを歴任。

「新選組」でお馴染みの会津藩主松平容保(まつだいら かたもり、写真右)の孫。
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秋田県知事 佐竹敬久(さたけ のりひさ、1947年〜)
第17〜20代知事(4期就任:2009年4月〜現職)
東北大卒。秋田県庁職員、秋田市長などを歴任。
久保田(秋田)藩主佐竹家の分家・佐竹北家の21代当主であり、現職では唯一の「殿様知事」

戦国時代に佐竹義重(鬼義重)が常陸国を統一し佐竹氏全盛期を達成。しかし、関ヶ原の戦いで息子の
佐竹義宣(さたけ よしのぶ、写真右)は東軍、西軍のどちらに付くともいえない曖昧な態度を示し、これが家康の怒りを買い、久保田藩に移封。義宣は久保田藩初代藩主になります。
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千葉県知事 加納久朗(かのう ひさあきら、1886年〜1963年)
第3代知事(1期就任:1962年11月〜1963年2月、在職4ヶ月で急死)
東大卒。横浜正金銀行、住宅公団総裁などを歴任。

一宮藩最後の藩主加納久宜(かのう ひさよし、写真右)の子。
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愛媛県知事 久松定武(ひさまつ さだたけ、1899年〜1995年)
第2〜6代知事(5期就任:1951年5月〜1971年1月)
東大卒。三菱銀行、貴族院議員、参議院議員などを歴任。
知事時代に特産品のミカン栽培の振興に注力し、日本一(ニッポンイチ)のジュースになるようにという意味をこめて「ポンジュース」と名付けました。

松山藩主久松家の嫡流で、久松定謨(ひさまつ さだこと、写真右)の子。定謨はフランスに留学し、サンシール陸軍士官学校を卒業。そのとき、お付で渡仏したのが『坂の上の雲』でお馴染みの秋山好古でした。
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佐賀県知事 鍋島直紹(なべしま なおつぐ、1912年〜1981年)
第2〜3代知事(2期就任:1951年4月〜1959年4月)
九州大卒。農林官僚、佐賀県森林組合長などを歴任。

佐賀藩の支藩である鹿島藩主鍋島家の第15代当主。佐賀藩最後の藩主鍋島直大(なべしま なおひろ、写真右)の孫。
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熊本県知事 細川護熙(ほそかわ もりひろ、1938年〜)
第10〜11代知事(2期就任:1983年2月〜1991年2月)
上智大卒。朝日新聞、参議院議員、衆議院議員(後に首相)などを歴任。

細川忠興とガラシャ夫人の子である熊本藩初代藩主細川忠利(ほそかわ ただとし、写真右)の末裔。その凄すぎる血筋については以下。
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ラベル:戦国時代
posted by すぱあく at 00:21 | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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