2014年10月10日

エンターテイメント小説の源流!! 『モンテ・クリスト伯』

Monte-Cristo.jpg『モンテ・クリスト伯』(1846年)は、アレクサンドル デュマの名作。『岩窟王』の邦題でも知られています。デュマは、『三銃士』でも有名なフランスを代表する文豪です。

主人公エドモン・ダンテスが無実の罪で監獄に送られ、そこで長い年月を過ごしたのち、脱獄して巨万の富を手にし、モンテ・クリスト伯爵として自らを陥れた者たちに復讐する物語です。以下、あらすじをざっくりと紹介。
マルセイユの航海士であるエドモン・ダンテスは、若いながらも仕事熱心。その働きが認められ、船長への昇格が約束されていました。しかも、婚約者のメルセデスと近く結婚する予定。まさに順風満帆の人生でした。しかし、ダンテスの出世を妬んだのが会計担当のダングラール。また、メルセデスに横恋慕していたのが従兄のフェルナン。彼らは、検事代理のヴィルフォールと共謀し、無実の罪でダンテスを逮捕。哀れ、ダンテスは終身刑に処せられます。

監獄で絶望的な日々を過ごすことになったダンテスでしたが、隣りの独房に投獄されていたファリア神父という老人と出会います。神父のもとで様々な学問を学ぶダンテス。やがてファリア神父は病に倒れてしまいますが、モンテクリスト島に隠された財宝のありかをダンテスに伝えて死にます。ダンテスは、ファリア神父の遺体と入れ替わることによって、脱獄に成功。すでに投獄から14年の月日が過ぎていました。

モンテクリスト島の財宝を手に入れたダンテスは、やがてイタリアの貴族モンテ・クリスト伯爵と名乗るようになります。そして、成功して今や時の人となっていたダングラール、フェルナン、ヴィルフォールに近づき、自分の富と権力と知恵を駆使して復讐を開始していくのです。

古典文学とは思えないほど読みやすく、現代のエンターテイメント小説のように読み進めることができます。また、劇中には新聞記者や株屋といった職業の人物たちも登場しますが、彼らの話題が現代とほとんど同じことにも驚きます。まさに、不朽の名作を実感できる名著です。

ちなみに、本作は後世の作家に多くの影響を与えてきました。とくに無実の罪で投獄され、その後復讐に燃えて幾多の試練を乗り越えるというストーリーは、もはや「王道」ともいえます。
『連城訣』(金庸)、『カムイの剣』(矢野徹)、『エリア88』(新谷かおる)など、無数の作品が本作から影響を受けています。


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2013年08月14日

ELSA 『T'en va pas』

elsa.jpgELSAの『T'en va pas』(トンバパ、1986年)。

フランス語がわからなくても、郷愁が胸に響き、なぜか目頭が熱くなってしまう、そんな歌です。

10年以上前、EDWINの女性向けジーンズ「SOMETHING」のCMソングとして流れていました。

タイトルの「T'en va pas」の意味は、「パパ行かないで」。
両親が離婚することになり、娘は悲痛な思いで「パパ行かないで」と叫ぶ、そんな哀しい歌です




T'en va pas

T'en va pas     行かないで
si tu m'aimes t'en va pas     ママを愛しているなら 行かないで
papa si tu l'aimes dis lui     パパ 言って欲しいの
qu'elle est la femme de ta vie vie vie     「ママは僕の生涯の恋人って−恋人−恋人」
papa ne t'en va pas     パパ行かないで
on veut pas vivre sans toi     居なくなったら私たちは生きていけない
t'en va pas au bout de la nuit     夜が明けても ここに居て!


Nuit tu me fais peur     怖くてたまらない夜
nuit tu n'en finis pas     果てしなく続く夜
comme un voleur     どろぼうみたいに
il est parti sans moi     私を置いて去っていったの
※※
on ira plus au cine tous les trois     三人で映画を見に行くことももうないのね。   

※繰り返し
※※※
papa si tu pensais un peu a moi     パパ、少しは私のことを考えて

Ou tu vas quand tu t'en va d'ici     何処へ行くのここから出て行ってしまったら
j'arrive pas a vivre sans toi     私、もう生きてはいけないわ
avec la femme de ta vie vie vie     ママは生涯の恋人−恋人−恋人
papa fais pas d'connerie     パパ、バカなことはしないで
quand on s'aime on s'en va pas     愛しあっているのに別れるなんて
on ne part pas en pleine nuit     真夜中に出て行くなんて

※繰り返し
tu m'emmenera jamais aux USA     アメリカに連れて行くって約束したのに

※繰り返し
※※※※
papa j'tassur arrete ton cinema     パパ 聞いてよ お芝居は止めて

※繰り返し
※※※繰り返し

※繰り返し
※※※※繰り返し

1987年、原田知世さんが「哀しみのアダージョ(彼と彼女のソネット)」(作詞:大貫妙子)という
タイトルで日本語カバーしています。

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2012年12月02日

『ベルサイユのばら』に登場するナポレオン

berubara1.jpg『ベルサイユのばら』には数々の名シーンがありますが、私が一番好きなのはオスカルがナポレオンとすれ違うシーンですね。

作者の池田理代子は、ナポレオンを主人公にした『栄光のナポレオン-エロイカ』という作品も描いていますが、実は『ベルばら』でもたったワンシーンのみ、ナポレオンをゲスト出演させています

このときのナポレオンはまだ無名の兵士にすぎません。しかし、野心は体中からみなぎっており、オスカルほどの手練れはその野心に気付き、かつ圧倒される・・・ そんなシーンです。

このシーンにおけるナポレオンの恐ろしさは、あまりピンと来ないかもしれませんが、サラリーマン社会に置き換えてみると実によくわかります

このときのオスカルの階級は准将(将官の末席)。サラリーマンに置き換えれば、若くしてすでに役員クラスです。しかも、父は将軍(専務クラス)ですから、エリート中のエリートといえます。
ちなみに勤め先のフランス王国はヨーロッパの中核なので、超一流企業といえます。

対して、ナポレオンはどうか。このときのナポレオンは20歳で、階級は大尉
親のコネがあるオスカルには当然及びませんが、それでもナポレオンもなにげに若くして出世しているといえます。クワトロ・バジーナと同じ階級ですし・・・。
サラリーマンでいえば、すでに主任や係長は卒業し、課長代理心得ぐらいにはなっているでしょう。

さて、本社ビルでオスカル役員は、ナポレオン課長代理心得とすれ違います。そのとき、オスカルはナポレオンの体中からみなぎる野心に圧倒されます。
berubara2-3.jpg


berubara3-2.jpg皆さんが勤めている会社を例に、想像してみてください。
仕事をそつなくこなしている課長代理心得が、虎視眈々と社長の座を狙っている様を
普段はプロ野球やキャバクラの話をしていながら、
実はどうやってのし上がろうかと考えている様を。
メチャクチャ恐ろしくありませんか?


そして、ナポレオンはフランス革命のどさくさの中で力を発揮し皇帝に昇り詰めます。
サラリーマン社会で例えるなら、創業者一族の現職社長がカジノ賭博で逮捕され、社内は大混乱。その危機の中で力を発揮し、イッ気に社員たちの人望を集めて、社長に推挙されるといった感じでしょうか。

なおナポレオンがスゴイのは、昇り詰めたのが国王ではなく、皇帝であったことです。
ヨーロッパにおける「皇帝」というのはローマ教皇から戴冠されるもので、ローマ帝国皇帝の後継者としての意味を持ちます。会社でいえば、社長を飛び越えて会長に就任したようなものです。

しかも、ナポレオンの野心はここで終わりません。競合会社を次々にM&Aして、ヨーロッパ中を傘下に収めます。
この飽くなき成長欲。現代ならインドの鉄鋼王ラクシュミー・ミッタルや、日本の孫正義のようなものでしょうか。

しかし、いつの時代も急成長というものは長く続かないものです。
ナポレオンの会社も無理な投資(ロシア遠征の失敗など)がたたって倒産してしまいます。その後、会長を解任されて会社を追い出されます。
ところが、短期間ながらもまた会長に復帰します。凄すぎる。ですが、彼の豪運もここまで、最終的には毒殺されます。

この後、フランス株式会社は、革命があまりうまく行かず王政復古します。つまりは、創業者一族による古い体質に逆戻りするわけです。
その後、ナポレオンの甥という人が現れ、“ナポレオン3世”と名乗ってちゃっかりまた会長(皇帝)に就いちゃいます。
「3世って!?、ルパンじゃないんだから」(野田総理)


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さかのぼりスペイン史3 長く続く混乱の時代へ ― ナポレオンによるスペイン介入
サバンナ八木さんによる「歴史の勉強法」についての提言 ― ボナパルト家・現当主の写真あり
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posted by すぱあく at 20:05| Comment(3) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月31日

フランス史 年代別記事一覧

ガリア 
:ローマ帝国統治下 (前51年〜)


フランク王国
:メロヴィング朝 (481年〜751年)

:カロリング朝 (751年〜843年)

:西フランク王国 (843年〜987年)


フランス王国
:カペー朝 (987年〜1328年)

:ヴァロワ朝 (1328年〜1589年)
・1429年 ジャンヌ・ダルク、オルレアン解放 ― 歴史バカが発狂して喜ぶ『ドリフターズ』

:ブルボン朝 (1589年〜1792年)
・スペイン継承戦争にフランス介入 ― さかのぼりスペイン史4 斜陽の帝国
・フランス革命 ― 『ベルサイユのばら』に登場するナポレオン


第一共和政 (1792年〜1804年)


第一帝政 (1804年〜1814年)
・ナポレオン、スペイン独立戦争に介入 ― さかのぼりスペイン史3 長く続く混乱の時代へ


王政復古とその終焉
:ブルボン第一復古王政 (1814年〜1815年)

:ナポレオン百日天下 (1815年)

:ブルボン第二復古王政 (1815年〜1830年)

:七月王政 (1830年〜1848年)
エンターテイメント小説の源流!! 『モンテ・クリスト伯』

:第二共和政 (1848年〜1852年)


第二帝政 (1852年〜1870年)


第三共和政 (1870年〜1940年)
・松山藩主の久松定謨がサンシール陸軍士官学校に入校 ― 殿様知事
パルクール発祥


ナチス・ドイツによる統治下 (1940年〜1944年)


第二次世界大戦以降
:共和国臨時政府 (1944年〜1946年)

:第四共和政 (1946年〜1958年)

:第五共和政 (1958年〜)
ELSA 『T'en va pas』


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