2014年11月07日

金庸ならではの面白さが光る短編集『越女剣』

etsuzyoken.jpg長編小説をメインに書いた金庸ですが、短編小説も3本書いています。日本語翻訳版は、3本とも短編集『越女剣』に収録されています。
鴛鴦刀(えんおうとう、1961年) 第八作目、清代が舞台
白馬は西風にいななく(1961年) 第九作目、時代不明・シルクロードが舞台
越女剣(えつじょけん、1970年) 第十五作目、春秋戦国時代が舞台

スケールの大きな物語を得意としている金庸ですが、短編小説も面白いんです!
短くまとまって読みやすいので、ビギナー向けともいえます。

中でも一番短いのが『越女剣』。しかも、舞台はず〜っと古代の春秋戦国時代。本作は、「臥薪嘗胆」(がしんしょうたん)という成語が生まれた呉と越の戦いをテーマにしています。「臥薪嘗胆」は、復讐のために耐え忍ぶこと。また、成功するために苦労に耐えるという意味の成語です。現代でも良く使われていますね。以下、呉越の戦いをざっくり解説。
呉王は越に破れて死ぬ際に、後継者の夫差(ふさ)に「必ず仇を取るように」と言い残し、夫差は「三年以内に必ず」と答えます。夫差はその言葉通り国の軍備を充実させ、自らは薪の上で寝ることの痛みでその屈辱を思い出しました。これが「臥薪」の意味です。

まもなく夫差は越に攻め込み、越王勾践(こうせん)の軍を破ります。勾践は部下の進言に従って降伏。夫差の馬小屋の番人にされるなど苦労を重ねましたが、許されて越に帰国した後も民衆と共に富国強兵に励み、その一方で苦い胆(きも)を嘗(な)めることで屈辱を忘れないようにしました。これが「嘗胆」の意味です。

その間、強大化した呉王夫差は覇者を目指して各国を攻め、国力を疲弊させます。その隙をついて、越王勾践は満を持して呉に攻め込み、夫差の軍を破ったのです。呉に敗れてから20年後の悲願達成でした。

以上の話をベースに、架空の人物・阿青(あせい)。実在の人物である越の大夫・范蠡(はんれい)や絶世の美女・西施(せいし)らが物語を彩ります。


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posted by すぱあく at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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