2015年03月19日

原作への愛が溢れている映画『ピンポン』

ping-pong-movie01.jpg人気マンガを実写化すると、たいていはトホホな仕上がりになってファンをガッカリさせるのですが、この映画は満場一致でブラボーかな? 松本大洋の原作を映画化した『ピンポン』(2002年、監督:曽利文彦、脚本:宮藤官九郎)。

たいていのマンガ原作モノは「儲かりそうだから。人気が出そうだから」という理由で、企画が先行されて映画化されます。そして、演技がつたないのに人気女優・俳優が出演したり、原作とは関係のないオリジナルストーリーが展開され、結果的に一体どんな層をターゲットにしたかったのか意味不明な仕上がりになっていく。そんなパターンが繰り返されていると感じます。

その反面、この『ピンポン』はキャラクターの造形はもちろん、ストーリーも原作のものを大事にしており、とにかく原作への愛が溢れています。かなりヒットした映画なので多くの方が見たと思いますが、ぜひ松本大洋の原作マンガも読んでほしいですね。とにかく迫力が凄まじく、ミサイルを撃っているようなラリーを見せます。

pingpong_movie.jpg

そして、もう一つの魅力が「人間ドラマ」です。スポーツでも何でも、勝者がいると同時に敗者がいます。フツーのスポーツマンガなら、それら敗者にスポットを当てることはありませんが、この『ピンポン』では敗者も温かい雰囲気で包みます。それが素晴らしくてね。

dragon02.jpg私が好きなのはラストシーン。高校での激闘から5年経ち、みんな社会人になっていました。ペコはドイツで活躍するほどの超一流の卓球選手に成長。その一方で、高校時代は無敵の強さを誇っていたドラゴンは、すでにピークを過ぎてしまっていました。卓球選手にはなったものの、代表メンバーからもはずされるという寂しさ。

でも、本人の表情は高校時代の修行僧のような表情からは一転。とても明るくなっていました。おそらく、彼自身はこれまで全力で生きてきたことに「納得」できているのだと思います。
そう、人生の選択肢は決して一つではないんですよね。卓球では一流になれなかったとしても、ビジネスや芸術の世界で一流になれるかもしれない。この作品からはそんな未来への希望や温かさが感じられます。
このシーンは、映画にはないものなので、ぜひ多くの人に原作マンガを読んでほしいです。


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posted by すぱあく at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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