2013年09月01日

同族会社の小学館と集英社

shougakukan.jpg取り壊されることになった小学館ビルにマンガ家たちが壮大な落書きをし、一目見ようと大勢の人が集まりました。夏休みの最後を彩るニュースとして報道されていました。

小学館・・・日本最大級の出版社。新卒採用は100倍を軽く超えるほどの狭き門です。出版不況の影響は受けながらも、「高給取り」を実現できている数少ない出版社でしょう。
私も神保町の出版社で下積みしていたので、神保町のランドマークだった小学館ビルはとても懐かしいです。

さて、本題です。
小学館と並ぶほどの大出版社である集英社。この2社が実は、オーナーが同じ同族会社であることご存知でした?

もしかしたら、「???」かもしれません。
一般的に小学館といえば『週刊少年サンデー』(コナンとか)、集英社といえば『週刊少年ジャンプ』(ONE PIECEとか)。これに講談社の『週刊少年マガジン』や秋田書店の『週刊少年チャンピオン』などが加わり、しのぎを削るライバル同士というイメージが強いと思います。

そんなふうに考えていた時期が私にもありました。しかし、会社とか経済というのは、そう単純にできていないことを社会に出てから知りました。

hitotubashi-group.JPGそもそも集英社の本社ビルはどこに立地していると思いますか?
なんと小学館ビルの真隣り(写真左が小学館、右奥が集英社)にあるのです。これを見れば、2社が同族会社であることは理解しやすいでしょう。
私たちのように神保町で働いていた人や、出版業界に詳しい人なら「常識」かもしれませんが、むしろ知らない人の方が多いのではないでしょうか。では、2社の歴史を紐解いていきましょう。


相賀武夫が小学館を創業
小学館は相賀武夫(おうが たけお)が、1922年に創業しました。社名の由来は、小学生向けの教育図書がメインだったため。今も『小学一年生』などは、同社の看板ですね。

ところが、武夫は42歳の若さで死去してしまいます。そのため、まだ13歳だった長男の相賀徹夫が跡を継ぎ、2代目社長となります。
この相賀徹夫が、今日のように小学館を大出版社に成長させた人物といえます。小学館を株式会社化したり、集英社の娯楽事業を急成長させたり、『女性セブン』や『週刊ポスト』といった数多の雑誌を創刊したのもこの人です。
そして、私たちが夢中になってみていた『ドラえもん』の映画製作を始めたのもまたこの人です。50年以上にわたって小学館の社長を務め、同時に日本の出版業界を牽引してきました。2008年、83歳で死去。
彼の死後は、長男の相賀昌宏が3代目社長となり、現職です。
あれだけの大出版社ですが、今なお相賀一族が世襲制で運営しているところに特徴があります。


小学館の娯楽雑誌部門として創業した集英社
小学館は児童誌がメインだったので、娯楽雑誌部門として集英社が作られました。創業者の相賀武夫の頃に原型が作られていましたが、ブレイクさせたのは2代目の相賀徹夫です。
戦前に山川惣治が紙芝居として描いていた『少年王者』を、戦後の1947年に絵物語として単行本にして販売したところ大ヒットします。これによって、集英社の経営基盤が築かれます。

とはいえ、この頃はまだ小学館の子会社に過ぎません。今のように独立した社風をつくったキッカケは、なんといっても1968年に創刊した『週刊少年ジャンプ』です。
『週刊少年ジャンプ』の話だけで、物語10個は作れてしまうほど内容が濃いので、今回は割愛します。
詳しく知りたい方は、ジャンプ創刊に携わり、『男一匹ガキ大将』『キン肉マン』『北斗の拳』などを大ヒットさせた第3代編集長・西村繁男の『さらば、わが青春の「少年ジャンプ」』(1994年)を読むとよくわかるでしょう。


凄まじい勢力の一ツ橋グループ
現在の集英社は小学館から独立していますが、それでも筆頭株主は小学館です。しかも47%強も保有しており、影響力は依然高いものと思われます。この2社を中核に一ツ橋グループを形成しており、他に祥伝社、白泉社、ホーム社、照林社、プレジデント社、尚学図書などもグループ内にあります。
白泉社といえば、大ヒットマンガ『ベルセルク』を連載している『ヤングアニマル』などを出版しています。一ツ橋グループは、それぞれの出版社が大きな実力を持っているといえます。

一ツ橋グループがここまで力をつけた理由として、グループ内企業でもライバルとして競わせて実力を伸ばしてきたことが挙げられます。
一番わかりやすい例が、『週刊少年サンデー』と『週刊少年ジャンプ』ですね。誰が見てもライバルで、この2社が同族会社であるとはなかなか考えられません。

とはいえ近年は、一ツ橋グループでさえも出版不況のダメージを受けており、これまでのスタイルでは共倒れの危険性が懸念されていました。そこで現在は、競合よりも協力していく方針に転換しています
その例として、小学館集英社プロダクションの設立が挙げられます。かつてなら、『ドラえもん』(小学館)と『ONE PIECE』(集英社)の版権 は、それぞれの企業が管理していましたが、現在は同一の会社で管理しています。これも時代の流れといえます。


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posted by すぱあく at 07:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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