2013年08月17日

あなたはあなたの生き方をすればいい ― 『下妻物語』

shimotuma01.jpg『下妻物語』(原作:嶽本野ばら、映画:2004年)に登場する二人の主人公はどちらも極端なキャラクターです。

竜ヶ崎桃子(演:深田恭子)
学校でもどこでもロリータ・ファッションを着ています。周囲からは完全に浮いていますが、全然平気。友達なんて必要もないと思っている孤高の女子高生。周囲とは完全に壁をつくっているのでイジメられることもありません。

白百合イチゴ(演:土屋アンナ)
ヤンキー(暴走族)。頭は悪いですが、曲がったことは大嫌い。根はいいヤツです。元はイジメを受けるほど暗い性格でしたが、レディースの総長からイジメられているところを救われ、自分もレディースに憧れて、その道に入ります。

出会うはずもない取り合わせの二人が出会って、友達になり、最終的にはなくてはならないほどの親友になる。ざっくり言うと、そんなお話です。原作も映画も素晴らしく、誰が見ても楽しめる作品です。

この作品には、いくつかのメッセージ性が込められているように感じます。

●あなたはあなたの生き方をすればいい
近年の日本人は迷走というか、閉塞感がありますよね。
学校でも家庭でも「勉強しなさい」と言います。でも、「何のために勉強するのか?」まで、明確に教えてくれる大人はほとんどいません。だって、大人も先生もわかんないんだもの
「貧しいから、大学行くことで立身出世するんだ」という時代の方が、はるかに分りやすかったんです。
でも、今はそうじゃない。では、どうすればいいの?

職場では「英語が話せないと生き残れないぞ!」と言われます。でも、英語ってのは英語圏の人と交流するために勉強すればいいのであって、その必要性が乏しい場合は、ぶっちゃけやらなくていいんですよ。

世間では「不景気だから、このままじゃ豊かな老後が送れませんよ」と言われます。これはもう“脅迫”じゃね?
人間って、豊かな老後のために生きるものなんですか?

「あなたはあなたの生き方をすればいい」。
もちろん、それが難しいこともわかります。とくに会社員だったり、家族がいたりするとね。極端なことはできない。
それが日本人が抱えている壁、閉塞感の正体です

私は以前、「俺、本当は山小屋の管理人になりたいんだ」という会社員に会ったことがあります。
「でも、家族がいるからなぁ」と言って諦めた顔をしていました。おそらく、この類型に当てはまる日本人は相当数に上るものと思われます。
山小屋の管理人に類するものとして、ケーキ屋、パティシエ、ペットショップ、海外留学、自営業、資格事業者などなど。要は「今の勤めは本位ではないけど、生活や家族のために続けている」というパターンです

普通の人生を普通に生きている人は悩むことは少ないでしょう。しかし、上記のような人たちは、いつも鬱々と悶々としています。だから、『下妻物語』の竜ヶ崎桃子には、一種の憧れを感じます。ロリータ・ファッションのためなら何もいらないし、何も怖くない。あれは日本人の憧れの体現ではないでしょうか


●自己中心的では決してうまくいかない
しかし、「あなたはあなたの生き方をすればいい」と言うと、よく意味を履き違えて「どう生きようと俺の勝手だろ」と言う人が増えます。近年の日本がこれです。その果てにあるのは、決してハッピーな生き方ではありません。

事実、『下妻物語』の竜ヶ崎桃子は、好きなことにのめり込んでいる一方で、友達が一人もいません。本人はそのことをまったく気にしていませんが、その姿を見ている読者や観客は引きます。さっきまでは、「桃子の生き方はカッコイイなぁ」と思っていましたが、急に「嫌、こんな人生は空虚だ」と思います。たしかに、その通り。あの人生がハッピーだとはとても思えませんね。

shimotuma02.jpgしかし、桃子にヤンキーのイチゴという友人ができます。それから、桃子は初めて他人のために行動するようになります。物語のラスト、イチゴがレディースの集団にリンチにあっているとき、桃子はバイクに乗って助けに行きます。それを見たとき、「あぁ、これが理想の人生だ」ということに気付きます。当たり前のことですが、「誰かのために」、それがあってこそ人生は豊かなものになるのです。


●茨城県下妻市はあんなに田舎なのか?
映画で描かれている下妻市は、ジャスコ(現・イオン)以外何もない、地平線が見えるほど田んぼが広がる超ウルトラ田舎として描かれています。
下妻市民にそのことを聞いてみると、「その通り」という人もいれば、「さすがにあれはギャグじゃね」という人もいます。ただ、総じて田舎であることは間違いなさそうです。それでも観光地もあるのでご紹介。

shimotuma03.jpgしもつま温泉 ビアスパークしもつま 公式サイト
温泉、宿泊施設、さらには地ビール工場まである観光施設です。茨城県内に4つある地ビールのひとつ、「しもつまビール」を製造・販売しています。

そして、なんと下妻市では『下妻物語』にあやかって、「ロリータファッション・コンテスト」というものを開催しています。全国から参加者が訪れ、市長が審査員長を務めるという気合の入りぶり。

ちなみに、物語のラストで超巨大な仏像が出てきます。あれは牛久大仏といって、牛久市にあります。下妻市からはそこそこの距離がありますのでご注意。


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posted by すぱあく at 07:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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