2013年07月17日

「君っ、サッカーじゃない。フットボールと言いなさい」

私が事務機器の営業マンをしていた頃のお話です。

当時、私は毎日毎日飛び込み営業をして、コピー機やFAXなどのセールスをしていました。
こう聞くと、「うへぇ〜大変そうだな」と思うかもしれませんが、
不思議なもので、飛び込み営業ですら慣れればコツがわかってくるものです。

世の中、「こっちは忙しいんだ! 早く帰れっ!!」と言う人だけじゃないのです。
「立って話すのもなんだから、こっちへ来て座りなさい」と言って、お茶まで出してくれちゃう人もいるのです。
そう、人間は機械じゃないから、息抜きしながら仕事をします。そんなとき、若い営業マンをつかまえて、話をするのが好きな人もいるのです。
こういう人と仲良くなると、お互いに情が沸いてきて「あぁ、今度カタログ持ってきて」となるから、本当に営業って不思議です。

ある日、会計事務所に飛び込み、そこの公認会計士に気に入られました。
彼は超一方的に、何時間でも話しました。正直、相手は私でなくても良かったのです。
内容はすべてサッカーのことでした。

彼のサッカーマニアぶりは常軌を逸していました。
「僕はユーロとワールドカップを現地で見るために生きている」と言っていました。
つまり、2年に一遍は海外でサッカー観戦をする。仕事はそのオマケのようなものだというのです。ここまで断言できる人ってそうはいませんよね。

年齢は当時で40代後半ぐらい。事務所にはサッカーの試合を録画したビデオがうず高く積もっていました。
この人ちゃんと仕事しているのか? と心配してしまうほどのマニアでした。
pere.jpg「僕は子供のときに長嶋茂雄じゃなく、ペレを先に見てしまったんだ。
それからは、もう野球なんて眼中になかったね」

「知っているかい? ペレはね、生卵ですらリフティングできるんだよ!」

と話は延々と続きました。その時間は平均2〜3時間。私の帰社があまりに遅いので、事業所から私の携帯に電話がかかってくる始末でした。

もうこの先生に関わるのはよそうと、いつも思うのですが、話の最後には必ず「今度、カタログ持ってきて」と言うのです。言われたからには、またこの事務所を訪ねるしかありません。この先生、かなりの策士でした。

今でも忘れられないのは、私が普通に「サッカーって本当に面白いですよね!」とか言ったとき、
すごい形相で「君っ、サッカーじゃない。フットボールと言いなさい」と言われたことです。

私はビックリしました。「えっ、何? どっちでもいいじゃん」と思いましたが、先生はいたく不機嫌でした。

サッカーと言っているのはアメリカ人ぐらいだよ。でもね。ヨーロッパで育まれたスポーツなわけだからフットボールというのが正式だよ。これだから日本のフットボール文化はまだまだ遅れているんだ」とおっしゃっていました。

はぁ、そんなもんですかねぇ〜。でも、好きなものにこれだけ真摯にのめり込めるというのは素敵だな。
この人はきっと満足して一生を終えられそうだなと感じました。

この変人先生の話に毎回つきあった営業マンはどうやら私だけだったようで、おかげで気に入られました。
ついに、私からコピー、FAX、パソコンなどを買ってくれ、さらには自分の顧客まで紹介してくれました。

そのときわかったことですが、この先生「仕事はオマケ」みたいなことを言っていながら、顧客には大物芸能人なども多数いて、超やり手でした。私もその先生から大物芸能人を数名紹介していただき、彼らに事務機器を販売させていただきました。

退職後はこの先生との交流はありませんが、今の私に大きな影響を与えています。
好きなものをトコトン追求する、その強さ。
時代が変わろうが、政権が変わろうが、景気が良くなろうが悪くなろうが、関係ないんですよ。
それでいて、この先生のところには、ひっきりなしに会計の仕事が舞い込んでいました
「梵天丸もかくありたい」と思いましたね。

★サッカーの語源
「手を使うことを禁止する」ルールを主張していたイングランドのパブリックスクールによって、フットボール・アソシエーション(Football Association)が設立され、こうしたフットボールを「協会式フットボール」(Association Football)と呼ぶようになった。その省略形soc に「人」を意味する -er をつけたものが soccer の語源であり、1880年代頃から使われているといわれている。(wikiより)


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ラベル:スポーツ
posted by すぱあく at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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