2012年09月03日

小町物『積恋雪関扉』は、「戦国BASARA」みたいなモノ

「小野小町は絶世の美女だった」という伝説が後世の人々の想像力を刺激し、能、浄瑠璃、歌舞伎などでさまざまな作品が作られました。小野小町を題材とした作品を総称して「小町物」と呼びます。

江戸時代の「小町物」の一つで歌舞伎の演目である『積恋雪関扉』(つもるこい ゆきの せきのと)に触れてみたいと思います。

歌舞伎に興味がない人にとっては、セリフは現代語でないしストーリーも縁遠いため、難しく感じるでしょう。
しかし、もともと庶民の娯楽だったわけですから、実はそれほど格調高いわけではないのです。

basara.jpg私なんかは『積恋雪関扉』は、「戦国BASARA」みたいにいい意味でテキトーな作品だと思っています。
『戦国BASARA』とは、戦国武将をキャラクターにしたカプコンのゲームで、伊達政宗が英語をしゃべり、真田幸村の甲冑はホストのようで、本多忠勝はロボットと、かなりムチャクチャな内容です。キャラクターが美形なため腐女子の皆さんから絶大な人気を得て、アニメ化、舞台化までされています。
「戦国武将がガチバトルしたら、誰が強い?」という小学生が考え付きそう世界観が特徴です。

でも、『積恋雪関扉』の発想もほとんど同じで、「六歌仙を登場人物にして、何か話を一本つくってみようや」というテキトーなノリで出来上がった感じがします。

六歌仙とは、紀貫之が『古今和歌集』の序文のなかで挙げた平安時代初期に活躍した6人の歌人たちで、
僧正遍昭 (百人一首12番
在原業平 (百人一首17番
文屋康秀 (百人一首22番
喜撰法師 (百人一首8番
小野小町 (百人一首9番
大友黒主 を指します。

この6人が交流していたかどうかは、詳しいところはわかりません。しかし、江戸時代の人もオールスターとかドリームチームといったものへの憧れがあって、ひとつの物語が生まれたことは、確かなようです。

『積恋雪関扉』で登場する六歌仙は以下の3人で、キャラクター設定も自由奔放です。
僧正遍昭・・・隠者
小野小町・・・僧正遍昭の元カノ
大友黒主・・・関所の主で、天下を狙う大悪人

黒主 VS 小町桜の精
sekinoto.jpg

ストーリーは前半と後半に分かれています。
前半
雪の降り積もる逢坂の関では、不思議に小町桜が咲いている。そのかたわらには良岑宗貞(後の僧正遍照)が隠棲していたが、元の恋人小野小町姫が通りかかり、その仲を関守の関兵衛が取持とうとする。しかし関兵衛はどこか怪しい。小町姫はそれを知らせに都へと走る。

後半
じつは関兵衛こそは天下を狙う大伴黒主(大友黒主のこと)であった。これまでその機会をうかがっていたのだが、星占いの結果今がその時と知る。早速、野望の成就祈願に使う護摩木とするため、小町桜を切り倒そうとする。ところがそのとたんに五体がしびれて身動きが取れない。するとそこに薄墨と名乗る遊女が現れ、関兵衛をくどきはじめる。
しかし実は薄墨こそ、小町桜の精であった。小町桜の精は宗貞の弟である安貞と相愛の仲であったが、その安貞を黒主に殺されており、その恨みを晴らすため人の姿となって現れたのである。やがて二人は互いの正体を現し、激しく争うのだった。

最近、『アベンジャーズ』というハリウッド映画が上映されました。あれは、アイアンマン、超人ハルク、キャプテン・アメリカといったアメコミのヒーローを集結させた映画でした。

また、サッカー好きの男子なら必ず、日向、翼、岬、三杉、早田、石崎、松山、立花兄弟、次藤、若林と『キャプテン翼』のキャラクターでベストイレブンを脳内でつくったことがあると思います。

どうやら、人間の考えることって古今東西あまり変わらないようですね。


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posted by すぱあく at 11:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
超おもしろそう!こういうデタラメな時代物って最近すぐ「ラノベ」とかって叩かれるけど
結構需要はあると思うねんけどな〜。
ちなみに貧道は在原業平の子孫を称する勇将・長野業正がすこぶる気に入っています。
Posted by 穴鈴・ガトー少佐 at 2012年09月24日 23:40
>>少佐殿

今回も降臨ありがとうございます。
『戦国BASARA』の凄さをさらに知りたいなら、以下のサイトがオススメです。
http://coffeewriter.com/text252.html

もうね、何でもありですよ。
Posted by すぱあく@管理人 at 2012年10月04日 20:20

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