2012年05月27日

試練は、乗り越えられる者にしか訪れない!― 『孟子』

『孟子』(告子章句下)の中に、とても勇気が出る一節があります。

自分が困難にぶつかったとき、それは天が与えた「試練」と考えよ、というメッセージです。
「試練は、乗り越えられる者にしか訪れない!」
  そう思うと勇気が湧いてきませんか? だって天から選ばれているんですよ!!

天将降大任于斯人也、
天の将(まさ)に大任(たいにん)を是の人に降さんとするや

必先苦其心志、労其筋骨、
必ず先ずその心志(しんし)を苦しめ、その筋骨を労せしめ、

餓其体膚、空乏其身、
その体膚(たいふ)を餓えしめ、その身を空乏(くうぼう)にし、

行拂乱其所為、
行いには其の為す所を払乱(ふつらん)せしむ。

所以動心忍性、曾益其所不能
心を動かし、性を忍び、其の能(よ)くせざる所を曾益(ぞうえき)せしむる所以(ゆえん)なり。

<現代語訳>(佐久 協「『孟子』は人を強くする」より)
天上の神がある人物に重要な任務を与えようとしたときは
必ずその人の心を苦しめ、肉体を疲労させ、生活を困窮させ、やる事なす事すべてがカラ回りするような
大苦境に陥れるものだ。
それは天がその人の心を鍛え、忍耐力を増大させ、大任を負わせるに足る人物に育て上げようとしている何よりの証拠なのだ。
まあ、疑う前に周囲をよく眺めてごらん。われわれが知っている優れた人格を持ち知恵があり、
人の心が読める能力を発揮している者は、みんな悲惨な体験をくぐり抜けてきた者といっていいだろう。
自らの心を悩まし、苦痛をとことん味わった者だけが、人間が生まれついて持っている、素晴らしいパワーを自覚し開花させられるものなんだよ。

吉田松陰から現代の経営者まで、このフレーズを愛唱している人は数多くいます。


●ところで孟子ってどんな人物?
moushi.jpg孟子(紀元前372年? - 紀元前289年)は戦国時代の儒学者で、鄒(すう。現在の山東省鄒城市)の出身。儒教では孔子に次ぐ重要人物です。
彼の母が教育のために3回引っ越した、いわゆる「孟母三遷の教え」は有名ですね。
彼は成長すると、孔子の孫である子思(しし)に弟子入りします。
その後、魏・斉・宋・魯などを遊説して回りましたが、君主たちからは受け入れられませんでした。それからは郷里に戻り弟子の育成に努め、あわせて著作活動に入りました。

孟子の死後に弟子たちは、孟子が行った遊説や論争、弟子たちとの問答などをまとめて『孟子』をまとめました。この書は『論語』『大学』『中庸』と並び、儒教正典の四書の一つになりました。
孟子の思想としてとくに有名なのが、
「人間は生まれながらにして善である」という性善説です。


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ラベル:漢文
posted by すぱあく at 07:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
孟子いいよね!日本で儒教っていうと江戸時代にはびこったヘンテコな朱子学のせいでつまらなそうに思えるけど、仏教と一緒で解釈する人によって魅力的な思想なんだな〜と考えさせられるわ。次回やるなら貧道の大好きな陽明学やってください。司馬遼センセイは「陽明学はどうにも煮詰まってしまった学問のようでページを割くまでも無い」みたいなこと言ってたんだけど、そうなのかな〜??
Posted by ガンバ=レル大尉 at 2012年05月27日 19:08
レル大尉殿

お返事遅くなり恐縮です。
儒教が好きなら、東京に来たときに湯島聖堂(千代田区お茶の水)に行かれるといいです。
でっかい孔子像が見れます。
そうです。こここそ、昌平坂学問所があったところ。
大尉殿がお嫌いな朱子学の総本山です。

でも、保存状況がよくて、見物の価値ありです。
すぐ近くのニコライ堂といっしょに見物するのがベスト。

さて、陽明学は今のところ、まったく知識がないです。
いずれ、またインプットにいそしむとします。
Posted by すぱあく@管理人 at 2012年06月06日 18:34

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