2011年04月11日

なぜマンガの中国人は「アルよ」と話すのか1

マンガに登場する中国人にはパターンがあります。
・拳法を身につけている
・女性はチャイナ服、男性は胴着を着ている
・女性は団子髪、男性は弁髪をしている
・驚いたときなどに「アイヤー」という
・語尾に「アルよ」を付ける

これらはステレオタイプな中国人像であり、日本人であればチョンマゲ、メガネ、カメラに当たります。

ところで、マンガに登場する中国人の多くが、語尾に「アルよ」を付けて話しますが、なぜなんでしょうか。
「アイヤー」はわかります。漢字で書くと「哎呀」で、実際に多くの中国人が口にしています。

しかし、「アルよ」は不思議です。片言の日本語を話す中国人は多いですが、それでも「私中国人アルよ」という人には、会ったことがありません。
そこで、その秘密に迫ってみたいと思います。

今回は、日本のマンガに登場する中国人(中華系、中国風)キャラを分析します。
山のようにいるのですが、とりあえず下記を列挙してみました。『蒼天航路』の曹操のような歴史上の中国人は除外しています。
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@006:『サイボーグ009』(石ノ森章太郎、1964年〜)、アルよ属性
本名は張々湖(ちゃん ちゃんこ)、42歳、広東省出身。貧農で人生に絶望して自殺しようとしたところでブラックゴーストに拉致され、サイボーグに改造されます。改造後は口から炎をはきます。最初期の「アルよ属性」。ちなみに連載開始事の1964年はまだ日中国交正常化(1972年)が実現していません。

Aラーメンマン:『キン肉マン』(ゆでたまご、1979年〜1987年)、アルよ属性
河南省出身。初登場時は怪しげな中国人風(弁髪にヒゲ)に描かれていたのが、あれよあれよと人気キャラになり、スピンオフ作品までつくられます。「アルよ属性」=ラーメンマンのイメージを持っている人も多いはず。

B烈海王:『グラップラー刃牙』シリーズ(板垣恵介、1991年〜)
香港出身。色黒で髪を辮髪に編んだ中国人。黒竜江省の白林寺で修行。約2tの釣鐘を叩き壊すほどの功夫の持ち主で、マンガ史上最強の中国人キャラと思われます。

C摘突詰(つん・つくつん) D摘鶴燐(つん・つるりん):『Dr.スランプ』(鳥山明、1980年〜1984年)、アルよ属性
ペンギン村という架空の世界が舞台ではありますが、彼らは中国からやって来ました。Cが弟でDは姉。父は摘鶴天(つん つるてん)、母は摘 詰角田野廷遊豪(つん つんつのだのていゆうごう)です。家族全員が「アルよ属性」です。重要なのは、それまで中国人キャラの多くは「怪しいオッサン」がほとんどでしたが、おそらく鳥山明によってはじめてカワイイ、カッコイイ中国人キャラが描かれたのではないかと思います。

E桃白白(たお・ぱいぱい):『ドラゴンボール』(鳥山明、1984年〜1995年)
舞台は架空の世界。それまでの中国人キャラは漢字を音読みしたものが多かったですが、これは中国語ピンイン読みです。『ドラゴンボール』は中国でも大ヒット(中国では『七龙珠』)したこともあり、そうしたことを配慮したのでしょうか。

Fシャンプー:『らんま1/2』(高橋留美子、1987年〜1996年)、カタコト属性
架空の少数民族・女傑族。16歳。ある意味、高橋留美子によって美少女中国人キャラが完成したと思います。

G春麗:『ストリートファイター』シリーズ(1987年〜)
対戦型格闘ゲーム初の女性キャラであり、後のゲームに与えた影響は巨大。また、コスプレでも重要な地位を占めており、水野美紀さんは無名時代に春麗の姿でストIIのCMに出演。ジャッキー・チェンも映画の中でコスプレしていました。

Hフェイ・ヴァレンタイン:『カウボーイ・ビバップ』(1998年)
おそらくシンガポール出身。中国人らしい描写はありませんが、華人・華僑までキャラになることで、それまでのカンフー=中国人という図式が拡大します。中華系民族が世界的なスケールで往来している状態が表現されているような気がします。

Iリン・ヤオ Jメイ・チャン:『鋼の錬金術師』(荒川弘、2001年〜2010年)、カタコト属性
架空の世界が舞台ですが、彼らの「シン国」は中国がモデル。皇帝の絶対的な権力、文字は漢字、カンフー、パンダなど中国風な描写が多数描かれました。

K神楽(かぐら):『銀魂』(空知英秋、2004年〜)、アルよ属性
架空の世界が舞台。チャイナ服、アルよ属性とステレオタイプの中国人像をそのままキャラ付けした人気キャラです。

Lレヴィ M張維新(チャン・ウァイサン) Nシェンホア:『ブラック・ラグーン』(広江礼威、2004年〜)
レヴィは米系華人、張維新は香港出身、シェンホアは台湾の本省人(カタコト属性)という設定。同じマンガでこれだけのチャイニーズが登場するのは珍しいです。現実はこれ以上にバラエティに富んだチャイニーズが世界中にいるんですよ。

「怪しいオッサン」というのが大多数だった中国人キャラは、美少女キャラまで登場し、今では華僑・華人までキャラになっています。マンガからも中国パワーが伝わってくるようです。

次回、なぜ中国人キャラが「アルよ」というのか、歴史的な観点から迫ってみます。

なぜマンガの中国人は「アルよ」と話すのか2 満州国の協和語

posted by すぱあく at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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